はんドンJST夕景写真部の活動報告
この記事は はんドンクラブアドベントカレンダー 13日目の記事です。
くらげです。
はんドンクラブには数多くの部活動*1が存在し、わたし自身も様々な部活動を掛け持ちしておりますが、今回は「JST夕景写真部」の活動について語りたいと思います。
JST夕景写真部ってなに
JST夕景写真部…JSTとは日本標準時(Japan Standard Time)のことで、よさげな景色のスナップ写真に撮影時刻4桁 hhmm の説明を加えたものを投稿する「JST写真部*2」の活動のうち、夕陽や夕焼けなどを主たる被写体として撮影する部活動のことです。
要は「オッ」と思った夕陽を撮ってすぐに上げてる集団です。
この名称は今回この記事を書くに当たって命名して初めて使うので、同じような活動を行ってきた関係者各位におきましてはこのような部活動を勝手に設立しましたことをご認識いただければ幸いです。
夕陽は…いいぞ
夕暮れ…黄昏時は一日の終わりに喩えられたり、”斜陽”などマイナス面の意味を持つ言葉ではありますが、その景色自体は太古の昔から人々を魅せつけて止まない凄みがあります。 ”黄昏時”の文字通り、たそがれる*4にはピッタリというわけです。
写真が趣味じゃなくてもスマホ取り出して撮りたくなる被写体ランキングの上位なんじゃないでしょうか。ぞんべいですが。
いやまあわたしのように趣味としてカメラ提げて撮りに行ったり、日頃からJST写真として投稿するまでかどうかはさておき、ふと見上げた空が真っ赤に焼けていると…しばらく見ていたくなる気持ちは誰しもあるんじゃないかと思っています。
今日からはじめよう!JST夕景写真活動の心得
そういうわけで部員各位およびこれを読んでいる皆様におかれましても、もっと気軽にJST夕景写真を上げていただきたいのですが、何も意識せずに生活を送っている中で「オッ」と思えるぐらいの夕景に出会うにはそれなりの運が必要です。
なのでまずはそんな景色に出会う確率を上げるポイントや、夕陽を撮るにあたっての撮影Tipsを書き連ねておきたいと思います。 職業カメラマンでもなんでもないのでまあ読み物として楽しんでもらえればと。
事前に押さえておくポイント
日ごろ綺麗な夕陽を見たいなと思ったところで夕方には忘れていたり、中々タイミングが合わないもの。まずは夕陽と出会うために日頃意識しているポイントをご紹介します。
起きたら"翌日”の天気も見る
朝、一日の始まりにニュースやスマホで天気を見るとき、ついでに「明日」の特に午前の天気を気にしています。
そう…太陽が沈むころの西側の空は「今日」の天気よりも、「明日の午前」の天気の方が近い結果となる場合があるんですね。
当然ながら当日の1時間予報や雨雲レーダーなどを使えばさらに詳細な情報は得られますが、まあどこまで本腰を入れて調べるかです。夕陽撮影スポットに行くのでもなければ毎日気にする必要はないでしょう。
今日が曇り予報でも、明日が晴れ予報だったりしたら、もしかしたらワンチャン西の空が良い感じになるかもなあと心に留め置く程度でいいと思います。
西の空が見える場所を覚えておく
普段の生活の中で、西の空が開けている場所を意識しておきます。ビル間に差し込む西日なんかも絵的には素晴らしく良いスナップの題材になりますが、写真関係なく思いっきり黄昏るためには大きく空を臨める場所がよいでしょう。
西向きの海岸、ビルの屋上、堤防沿い、橋の上なんかがお手軽です。郊外であれば大体空は開けていそうですね。逆に住宅街、谷間、山々の東側は、夕焼けが始まる前に太陽が隠れてしまう場合があるので要注意。
大気の条件としては、空気中に水蒸気を多く含む環境の方がより赤く染まって見えるようになります。 当然天候次第ですが、釧路港や宍道湖などの名だたる夕陽スポットは得てして日没方向がそうなりやすい環境でもあり、そんな有名スポットが近場にあれば押さえておきましょう。GoogleMapの口コミ写真を見てみるのもいいですね。
…まあ、条件が揃ったらからってわざわざそこに行けるかいなって話ではあるんですが、近くを通りかかる時がたまたま夕暮れ時なら、しばらくそこで空を眺める余裕を作ったってバチは当たりませんよ。
日の入りの時間と方角を把握する
日本では標準時が一律JSTであるために、日の出/日の入りの時刻が地域で変わります。東京-大阪間の違いは最大で20分程ですが、日没の時間帯ではその1分の違いで大きく景色が変化します。Apple Watchの表示やGoogle検索などで現在地を基準にした日の入り時刻を把握するのがよいでしょう。
ただ、日の入りの時刻は「太陽が完全に地平線下に沈んだ時刻」を指しますので、日の入り時刻きっかりに空を見上げると実はタイミングを逃していることになります。日頃の生活の中で意識するなら30分ぐらい前、夕陽の名所で待機するなら1時間前から意識しておくのが良いと思います。マジックアワーに関連する話は後述します。
日没の方角について調べるには下記のサイトが便利です。指定した場所の日の出日の入り時刻、およびその方角がわかります。日付の指定も可能です。普段の行動圏での夕陽の方角を把握するにはもちろん、夕陽スポットでの夕陽の見え方や、あるいはダイヤモンド富士が見られる場所の逆算など色々と調べることができます。
残念ながら最後は運です
というような準備を頑張っていても、自然相手のことなので当日綺麗な夕焼けが見れるかどうかは運です。 夕陽の名所に行って夕陽が見れなくてもめげないでください。
逆に綺麗な夕陽を見てしまった場合は、思いがけなくであってもその幸運を無駄にせずそのまま夕陽鑑賞に移行することをおすすめします。
夕陽を目前にできたら
綺麗な夕陽が見えた。すごいきれいだ。写真も撮った。JST写真も投稿した。うん、満足…
…するにはちょっと早いです。
夕暮れ時に関してマジックアワーという写真用語があります。魔法のような写真が撮れてしまう素晴らしい景色が臨める時間帯という意味です。余裕があれば、この時間帯で刻一刻と変化する景色の移ろいを楽しんで欲しいのです。
マジックアワーとは
マジックアワーの定義としては、太陽高度が±6°の間となる時間帯のことで、そのうち+6°~0°をゴールデンアワー、0°~-6°をブルーアワーと呼びます。それぞれの名称は文字通り空が金色/深い青色に染まることから来ています。
角度で表現すると想像しにくいですが、おおむね日没時刻を基準に前後40分がマジックアワーの時間帯となります。つまり、夕陽をフルで鑑賞するなら日の入り時刻を中心に1時間強は必要ということです。
…長いですね。普段の生活の中では時間を割いていられないと思います。 しかしながら条件の良いマジックアワー下で夕陽を見られること自体中々遭遇できないことですので、目の当たりにできたら時間の許す限りたそがれて欲しいものです。
ゴールデンアワーを楽しむ
この時間帯になると、空がオレンジ色に染まり始め、日没に近づくにつれ次第に赤色が深まっていきます。
空に雲が出ていれば、薄明光線…いわゆる天使の階段がより鮮明に見えるかもしれません。晴れ渡った空が赤く染まる夕陽は雄大で見ごたえもありますが、多少の雲が出ていてもむしろ陰影が景色の叙情的な演出に一役買ってくれて、より感動的な空模様を目の当たりにできるはずです。
そんな燃えるような空模様だけでなく周囲の光景も同時に移り変わっていくところも、この時間帯の見どころです。太陽高度が極端に低い時間帯なので、今まで陽の当たっていた面があっという間に赤く染まり、そして闇に飲まれていきます。文字通り一瞬たりとも見逃せません。
ブルーアワーを楽しむ
日没後、しばらくは空が明るんでいますが、次第に紫掛かって暗くなり、夜の帳が降りてくる”黄昏時”本来の時間帯です。
夕陽の名所に来ていても、日が沈んですぐあ~日没綺麗だったわねとそそくさ帰ってしまう方が多いですが本当に勿体ない。喩えるなら映画館でエンドロールが流れ出した瞬間に席を立つような行動に等しいです。
というのも、西の空に出ている高層雲は太陽との位置関係上、日没後しばらくしてから夕焼けすることがあります。空は青く暗くなったのに雲のところだけ怪しく赤く光る光景は、まさに「逢魔時*5」と呼ぶに相応しく、この光景こそが夕陽鑑賞の真骨頂だと勝手に思っています。それぐらい幻想的なんです。
ブルーアワーの後半は夕焼けと取って代わるように空の青が深くなっていきます。遠景にシルエットを浮かばせたいときはこの時間帯がピッタリですね。建物の明かりも合わせれば夜景とのコラボも楽しめるかと思います。
よりよいJST夕景写真を撮るためのヒント
さてそんな魅力的な夕陽ですが、撮るならやっぱり良い写真にしたいですよね。JST付けて投稿するかはさておき、スナップ的に見たままを残すための撮り方のアイデアをいくつか書いてみます。
視線の範囲を切り取ってみる
スマホカメラの画角は広角がメインになっていることが大半であり、カメラアプリを立ち上げてそのままシャッターを切ると…良くも悪くも色んなものが映り込みます。
海岸などで夕陽をダイナミックに表現したい場合は広角・超広角の出番ではありますが、ビル間、雲の切れ目、一部分だけの夕焼けなど、クローズアップしたい印象的な部分を大胆に切り取るのもアリだと思います。
スナップ写真的にはむしろ撮影者の「何でこれ撮ったんだポイント」が分かりやすくてわたしは好きです。デジタルズームやポートレートモードも活用してみてください。
ホワイトバランスを調整する
イマドキのスマホなら夕陽を「夕陽」と認識してそれっぽく赤く描画してくれるかもしれませんが、そうでないスマホや、普通のカメラでホワイトバランス設定がオートのまま撮ると、折角ギラギラに赤く感動的な夕焼けをお節介にも補正して白い写真にしてくれやがることがあります。
夕陽を撮る時は「曇天」「晴天日陰」あたりにすると、目で見るオレンジに近い色になるかと思います。「晴天日陰」の方がより赤みが強調される色温度です。
インカメラの自撮りはやめよう
自撮りの距離で画角に顔を収め、同時に夕陽を入れようと思うと、どうしても人間側の露出がアンダーになるか、背景が白飛びになるかと思います。スマホ得意のHDR加工をもってしても夕陽相手の逆光では分が悪く、不自然な仕上がりになることも多いです。
そもそも綺麗な夕景自体が、自身の顔を引き立てる背景としては主張が強すぎるので…安易に自撮り構図で重ねると大味な写真になります。思い出作りとしてならばそれでも十分なのかもしれませんが、写真に何かを期待するなら手持ちスマホカメラでの自撮りは諦めたほうが無難です。
一方で夕景は”他撮り”…つまりポートレートが映えるテーマでもあります。顔を諦めきれない、自撮りがやめられない部のみなさんは、三脚や協力者を準備して逆光位置じゃないところから構えてもらうか、いっそシルエットまで飛ばしてウユニ塩湖構図*6にした方が幸せになれるでしょう。その方が満足度の高い写真が得られるだろうと思います。
[発展]カメラの露出設定は…
露出設定について、むろん構図や撮影機材によりますが、基本的に遠景を撮る場合は絞り優先、F8~まで絞ると全体がシャープに仕上がるかと思います。フレアやゴーストの影響も少なくなって一石二鳥です。
夕闇を表現したければ体感EV-1ぐらいのアンダーにした方がシャドーが強調されていい感じになる気がしています。もちろん夕陽を黄色く白く飛ばしてボカしながら前景を主張するのもアリです。主題がある場合はスポット測光にするのを忘れないでくださいね。
ブルーアワーのような暗い環境では、シャッタースピードを遅くして感度を上げずに撮りましょう。三脚があるとよいと思います。あ、三脚を持ってくるなら、当然リモートレリーズも必要ですね。どうせゴールデンアワーから撮るならレンズにフィルタもつけましょう。太陽とそれ以外の露光の差を埋めるために、ハーフグラデーションNDやリバースNDなどを使うとより鮮明に写せます。…あら、色々と装備をお持ちになりましたね。これでもう同業者ですね。フフフ。
おわりに…JST夕景写真まとめ
いかがでしたか?
もし記事を読んでちゃんと夕陽を見てみたくなったなあって方がいれば恐悦です。是非写真に収めてJST写真も投稿してみてくださいね。
それでは最後にわたしの今年のJST夕景写真をまとめておきます。
見出しは被写体ではなく撮影場所です。意外と名所でも何でもないところで撮ってたのがあるんだなってフゥンと思っていただければ。。
長部田海床路
原岡海岸 岡本桟橋
多摩川 関戸橋
渋谷スクランブルスクエア
由良海岸
宍道湖 岸公園
以上です。はんドンクラブアドベントカレンダー2(ベストバイ)の記事も同時投稿しているのでもしよかったらご覧ください。
*1:はんドン○○部について、「クラブ活動」の名前と解釈するか、「部署」の名前と解釈するか議論がありますがわたしは前者派。永遠の女子中学生もいるし。
*2:国外での活動予定を考えればhhmm写真部とするのが適切でしょうが如何せん語呂が悪い
*3:古事記には…国譲りや衰退の象徴としての夕陽への言及はありますが「良い」とは書いてありませんでした。残念。
*4:[動]たそがれる の、物思いにふけって黙る…というのような用法は言葉の原義には無い俗用で、これは”黄昏時”に押し黙って景色を見るさまから発生したものと考える向きがあります[独自研究]
*5:闇が迫り幽霊でも出そうな時間。時間帯としては黄昏時と同義。
*6:遠浅の海岸の潮溜まり等で謎のポーズを取り、アイレベルを低くしシルエットを水面で鏡面反射させて絶景と共に撮影する手法。ウユニ塩湖で撮影されがちな”映え”写真の構図であることから。